コラム

2024.07.16

速報! 自転車の「ながら運転」罰則付き違反は11月1日施行予定へ

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ありんくりんニュース

警察庁は6月27日午後、今年5月に参議院本会議において全会一致で可決・成立した自転車に関する改正道路交通法(以下、改正道交法といいます。)のうち新たに「赤切符」対象となった「酒気帯び運転」や携帯電話を使用した「ながら運転」の施行を今年11月1日とする方向で改正手続きを進めると発表し、6月28日から7月27日までの30日間インターネットと郵送形式でパブリックコメントを募集のうえ制度改正を実施していくとしています。

「赤切符」の対象となる危険行為は15類型から17類型へ

自転車の「赤切符」とは、改正道交法によって刑事責任が問われる危険行為で、信号無視、一時不停止、徐行せず歩道通行、酒酔い運転のほか、「酒気帯び運転」と運転中の携帯電話使用が事故につながる「ながら運転」の2種類が新たに危険行為に追加され17類型になります(下記図表、抜粋イラスト参照)。「酒気帯び運転」で有罪となれば 3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されます。また、携帯電話での通話や画面注視など「ながら運転」で実際に危険を発生させた場合1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

自転車運転者講習制度とは

自転車運転者講習制度は、2015年6月1日に導入されている制度です。この講習制度とは、悪質で危険な違反行為を3年以内2回以上反復した自転車運転者に対し、自転車の交通ルール遵守を徹底し危険を防止するために設けられました。警察庁は、新たな危険行為に対しても受講を命令できるようにする方針です。

まとめ

今年2月、良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する有識者検討会がまとめた報告書によると、自転車運転中の携帯電話使用が原因で発生した交通事故は、2021年は93件、2022年が110件と増加しており、2013年~2017年と2018年~2022年の2期間の累計比較では約53.9%急増した統計結果となっています。

道路交通法上、自転車は軽車両です。前掲グラフのとおり自転車運転中のスマホや携帯電話使用による「ながら運転」による交通事故は年々増加しており、運転者のみならず歩行者や周囲の人にけがを負わせる可能性が高くなります。運転中の使用は改正道交法により禁止されています。相手にけがを負わせた場合は、重過失傷害罪などに問われたり、被害者から多額の損害賠償を請求されるケースも少なくありません。また、他の「ながら運転」、例えば傘を差しながら、イヤホンをしながらなどの運転行為が人身事故捜査段階で事故原因であると判明すれば、これらも赤切符の対象となる可能性は十分考えられます。

誰でも手軽に乗れる便利な自転車も、自動車と同じく、その使い方によっては痛ましい交通事故を起こす凶器になりかねません。自転車の交通違反は、利用者自身の安全だけでなく他人の安全にも大きく影響するだけでなく、事故がゆえに加害者、被害者、その家族等のその後の人生を一転させてしまうかもしれません。安全で快適に自転車を利用するためには、利用者が自転車の交通ルールとマナーを理解し、常に意識しながら安全運転を心がけることが大切です。事故を防ぐ努力も利用者次第です。

 


参考文献リスト
NHK NEWS WEB 『自転車運転中の「危険行為」にスマホ「ながら運転も対象へ』 2024年6月27日
琉球新報 自転車に「青切符」法成立 2024年5月18日
警察庁HP 「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について、自転車運転講習制度」、「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する報告書 令和6年2月」

リスクマネジメント・アドバイザー 宮城 和美