自転車に「青切符」が導入されます~事後防止へ知っておきたい交通ルール~
今年5月17日、自転車の交通違反に反則金納付を通告できる、交通反則切符(いわゆる「青切符」)制度導入を盛り込んだ改正道路交通法(以下、改正道交法といいます。)の採択が参議院本会議で行われ、全会一致で可決・成立しました。青切符制度は2年以内に施行されます。
2022年警察庁交通局統計によると、全国で発生した自転車関連事故件数は6万9,985件で、これは交通事故件数全体の23.3%を占める割合となっています。昨年7月の原付自転車の規制緩和で、16歳以上の方であれば電動キックボードのうち「特定小型原付自転車」(最高速度が20㎞以下)を免許不要で利用可能となりました。この時に導入された電動キックボードの取り締まりとの整合性も自転車への「青切符」制度導入の背景にあったと考えられます。
沖縄県における自転車関連事故
「青切符」取り締まりの対象
自転車の「青切符」取り締まりとなる対象者は16歳以上の利用者です。違反行為の対象は115種類に及びますが、警察はこのうち重大事故につながる可能性のある違反行為を重点的に取り締まることになります(下記イラスト例参照)。反則金額は5,000円~12,000円程度に設定されるとみられています。
「酒気帯び運転」 「ながら運転」 への罰則は6か月以内に施行
「酒酔い運転」など悪質な交通違反二十数種類(下記イラスト例参照)は、従来どおり刑事処分の対象となる「赤切符」対応で変わりません。今回成立した改正道交法では「酒気帯び運転」が新たに「赤切符」の対象となり、有罪となれば 3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されます。また、携帯電話での通話や画面注視など「ながら運転」で危険を生じさせた場合も「赤切符」の対象となり、1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。これらの罰則は公布から6か月以内(今年11月17日ごろまで)に施行されます。
まとめ
子供からお年寄りまで幅広い年齢層で気軽に乗れる自転車。道路交通法上、自転車は軽車両です。自転車の交通違反は、利用者自身の安全だけでなく他人の安全にも大きく影響します。安全に快適に自転車を利用するためには、「青切符」制度導入か否かにかかわらず、自転車の交通ルールを理解し、常に意識しながら安全運転を心がけることが大切です。また、2023年4月からヘルメット着用も努力義務化されました。自転車乗車中の交通事故による死者の約56%が、「頭部損傷」によるものとなっています。ヘルメットを着用していない場合は、着用している場合と比べて「致死率」が約2.1倍高くなっています。事故から身を守るためにも普段からぜひヘルメット着用で自転車を利用されることを推奨します。
参考文献リスト
NHK NEWS WEB 『「青切符」で自転車の交通違反取締りへ 改正道交法が成立』
琉球新報 自転車に「青切符」法成立 2024年5月18日
沖縄県警察令和5年交通白書
警察庁HP 「自転車の安全利用について」
リスクマネジメント・アドバイザー 宮城 和美