コラム

2025.01.22

生活に役立つ“ぼうさい” 情報てんこ盛りの「沖縄防災カレンダー」

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ありんくりんニュース

2024年を振り返ると、元旦の能登半島地震や台風および線状降水帯による集中豪雨の多発(能登半島豪雨含む)、宮崎県日向灘地震発生とそれに伴う導入後初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」の発表など多くの自然災害が発生し甚大な被害を受けました。沖縄県においても、4月に台湾東部沖を震源とする海底地震により、東日本大震災以来となる津波警報が発令され多くの人々が避難行動をとりました。そして11月には、本島北部地域でこれまで経験したことがない集中豪雨による甚大な被害を受けました。

世界に目を向けてみると、昨年1月~10月までに発生した死者100名以上の大規模自然災害は11件に及んでおり、うち1件は能登半島地震でしたが、残りの10件(約91%)は気象災害(洪水6:タンザニア洪水、ケニア洪水、ブラジル南部洪水、アフガニスタン洪水、ネパール洪水、スペイン・バレンシア州洪水;パプアニューギニア地滑り;台風11号(Yagiヤギ);米国ハリケーン2:へリーン、ミルトン)によるものでした。

1月17日には阪神・淡路大震災発生から30年の節目を迎えます。日本は、地震や津波、火山噴火、台風、豪雨など、人命や生活に大きな影響を及ぼす自然災害が多発する世界有数の災害大国です。今回のミニは、沖縄の地域風土を学びながら日頃から防災に関して触れることで知識を高め、いざという時に必要な対策や準備情報がわかりやすく説明された実用的なカレンダーについてご紹介したいと思います。

 

地域色豊かな 「沖縄防災カレンダー」
「沖縄防災カレンダー」は、沖縄気象台がカレンダーを普段の生活の中で使っているうちに、いつの間にか防災知識が身につくことを狙い”として2016年に作成を始めた地域色豊かなオリジナリティに富んだ防災カレンダーです。カレンダーは2部構成で作成されています。上段は地震・津波、台風、大雨など防災に関する解説、下段は日々の生活に関する事柄(日出・日の入り時刻、月齢、干潮・満潮時刻、過去の主な自然災害など)が記載されています。カレンダー末尾には、地震による揺れの状況や風の強さと吹き方など、人や物への影響についての説明や防災知識向上のための便利なリンク集へ二次元コードでアクセスすることができます。また、うちなーぐち(沖縄方言)をとり入れ、旧暦、沖縄で警戒・注意する事柄、気象用語など丁寧に説明しているのも特徴です。


イラスト出典: 沖縄気象台 2025年「沖縄防災カレンダー」

出典: 沖縄気象台 2025年「沖縄防災カレンダー」沖縄本島地方版を加工して作成

沖縄気象台管区内の地方気象台ではそれぞれの地方の日の出・日の入り、干潮・満潮の情報を載せたカレンダーを作成しています。各地方のカレンダーは下記URLから無料でダウンロードできます。

■ 沖縄本島地方版         沖縄防災カレンダー_沖縄気象台 (jma-net.go.jp)
■ 大東島地方版          pdf (jma-net.go.jp)
■ 石垣島地方版・与那国島地方版  石垣島地方気象台 (jma-net.go.jp)

 

まとめ
地球温暖化現象による大規模な自然災害は毎年世界各地で多発しています。昨年の大地震と豪雨で二重被災地となってしまった能登半島は重要なインフラ設備が寸断され「陸の孤島」と化してしまい、復興がなかなか進んでいない状況が現在も続いています。沖縄県は東西約1,000㎞、南北約460㎞に及ぶ海域(海域範囲は本州の2/3に匹敵)に54の離島(うち有人島は38)が点在する島しょ県です。災害で港湾や空港が使用できなくなると、本土からの救援物資や人員は復旧するまで途絶えてしまいます。自治体で働く人たちも被災者となり、避難所運営も公助に頼れない可能性が考えられます。能登半島で起きたことは沖縄にも通じることだという危機感を感じませんか?

日頃の備えや防災知識を持っていれば、災害に遭った時に例えパニックになったとしてもその後平常心を取り戻し的確な避難・考動が取れ被害を軽減できる可能性が高まります。「沖縄防災カレンダー」に込められた“なんくる防災”(「自然に・ひとりでに」と本来の意味+「まくとぅそーけー なんくるないさ(くじけずに正しい道を歩むべく努力をすれば、いつか良い日が来る)」という前向きな希望を持ち続ける)知識の輪が多くの人に広がれば自助・共助につながる一歩となるのではないでしょうか。


参考文献リスト
ウィキペディア 「元号」
林 春男 「国内外の自然災害を振り返る~能登半島地震や海外の災害からの教訓~」 リスク対策.com リスク総括2024での基調講演
国土交通省 気象庁 「気象災害に関する用語」  琉球大学島嶼防災研究センター 「気象災害について」
沖縄気象台 2025年「沖縄防災カレンダー」 沖縄本島地方版、大東島地方版、石垣島地方版、与那国島地方版

リスクマネジメント・アドバイザー 宮城 和美