コラム

2024.10.24

おしゃれな自転車ヘルメットで一石二鳥!

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ありんくりんニュース

警察庁は、全国の警察が2024年7月に実施した自転車ヘルメット着用率の結果をまとめ、全国平均は前年同月と比べ3.5%アップの17.0%と増加しました。トップ3は前年と変わらず、1位は群を抜いて愛媛県の69.3%(背景は今年8月配信の「あなたの命は6,000円より安かったのですか?」参照)、大分県の48.3%、群馬県の40.4%と続きました。

沖縄県のヘルメット着用率は前年の8.5%から4ポイント増加し12.5%で、順位も3つ上げ富山県、京都府と並ぶ24位に上昇しました。最も低かったのは大阪府の5.5%でした。着用率の都道府県格差は依然顕著となっています。

 

驚異の上昇率、昨年の2倍を達成した長野県

1位の愛媛県は昨年の59.9%から9.4ポイント伸ばし69.3%でしたが、それを上回る驚異的な上昇率を達成したのは本州中部に位置し南北に細長く8つの県と隣接する内陸県、長野県でした。数字を比べると、昨年12位(17.3%)だった長野県は、今年ヘルメット着用率を2倍に増やし全国4位(34.7%)となりました。

着用率を1ポイント上げることは決して容易なことではありません。では、長野県はどうやってこの驚異的な伸び率を達成できたのでしょうか。
調べていくと、長野県では県警と連携してヘルメット着用など模範的な自転車利用を定着させるための取り組みを期待する学校を「信州グッドチャリダーモデル校」として指定しており、生徒が主体となって着用を呼びかけることで交通マナーを心がける意識向上にもつながっているようです。そのほか、愛媛県と同じように高校生の自転車通学にヘルメット着用を条件にしていることも大きな要因だと考えられます。

 

県内の自転車事故死傷者は高校生が一番多い

沖縄県警察の令和5年交通白書によると、昨年発生した自転車関連事故件数は235件で、自転車乗車中に死亡された方は1人、負傷者(重傷・軽傷)は226人でした。学年・年齢層別の死傷者が一番多かったのは高校生の43人で死傷者全体の2割弱(18.9%)を占めています。前述の長野県でも高校生の死傷者が一番多く、全体の3割(190人、31.7%)を超えています。

一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)は、「自転車同士の出会い頭衝突」というYouTube動画で、ヘルメット着用有無で頭部が地面に叩きつけられる際の衝撃のテスト結果を公表しています。ヘルメットを着用していない場合、着用した場合と比較して約17倍になることがわかりました。速度が低めの自転車同士の衝突や停止時の転倒でさえ、頭部が地面に叩きつけられる際の衝撃は大きく、着用なしの場合致命傷になる可能性が高いといえます。命は助かっても重い障害がのこり車椅子あるいは寝たきり状態の生活となる可能性が考えられます。

 

自転車ヘルメットは 「格好悪い」 「ダサい」 ものばかりじゃない

佐賀県警察本部が今年6月から7月に自転車利用者に行ったアンケートの中で、ヘルメットを着用しない理由に 「格好悪い」 「ダサい」 「恥ずかしい」という回答があったそうです。

一般的な自転車用ヘルメットのイメージはどんなものでしょうか?私もそうですが、スポーツタイプ(下図)を連想する人は結構多いのではないかと思います。そのせいか、「服装に合わない」 「おしゃれができない」と感じているのは思春期の中高生だけではないはず。首都圏に住むある友人は、自宅から最寄りの駅まで街中でよく見かけるシティバイク(通称ママチャリ)を利用していますが、ヘルメットを着用していません。かぶらない理由を聞くと、「ヘルメットは頭部を守るために大事だがゴツイ。おしゃれタイプがあったらかぶってもいいかな。」と返答してきました。このような声は、孫と自転車を乗り楽しんでいる県内高齢者からも聞かれました。

SG、CSなど安全認証されたおしゃれヘルメット製品は実際に出回っています。ここでは、そのうちの2つをご紹介します。

おしゃれなヘルメット – 一般財団法人 全日本交通安全協会 (jtsa.or.jp)
販売店情報|自転車用ヘルメット&ギア|Kabuto (ogkkabuto.co.jp)
自転車用ヘルメットの購入補助金(上限1,000円)について|那覇市公式ホームページ (city.naha.okinawa.jp)
自転車乗車用ヘルメットの購入費用の一部を補助します!!/石垣市 (city.ishigaki.okinawa.jp)

 

まとめ

製品によっては単体帽子のように気軽にかぶることができ、自転車に乗るときはおしゃれ感覚を楽しみながら頭部保護の安全性を兼ね備えた一石二鳥のヘルメットであれば、もう「格好悪い」 「ダサい」なんて感じないのではないでしょうか。

「習慣は第二の天性なり」。自転車に乗るときにヘルメットをかぶることを習慣化すれば、いつの間にか自然とできるようになります。一度身についた習慣は毎日の生活や行動に大きな影響を与えます。自分の未来が続くか終わるかは私たちの選択次第といえるのではないでしょうか。

 


参考文献リスト

警察庁 「自転車乗車用ヘルメット着用率調査結果」 2023年7月、2024年7月
沖縄県警察 令和5年版交通白書 「自転車の事故」
コミュニティテレビこもろ 「信州グッドチャリダーモデル校指定書交付式(24.5.2)」 2024.5.16
NHK信州NEWS WEB 「自転車ヘルメットの着用率全国4位 さらに向上目指し啓発活動」 2024.9.13
NHK佐賀NEWS WEB 「”おしゃれなヘルメット“を紹介 自転車での着用呼びかけ 佐賀」 2024.10.1
長野県警察本部交通部 令和5年交通統計
JAF Mate Online 自転車に乗るなら大人でもヘルメットを 2023年4月から着用が努力義務に
一般財団法人 全日本交通安全協会HP https://www.jtsa.or.jp
日本パレードHP www.nippare.com/capor
株式会社オージーケーカブトHP https://www.ogkkabuto.co.jp

リスクマネジメント・アドバイザー 宮城 和美