雷注意報が出たら? 知っておきたい3つのサイン ~雷から身を守るには~
今月10日午後5時50分頃、奈良市の学園グラウンドで中学生男子生徒5人が雷に打たれました。被害に遭った5人はサッカー部活動中で、うち14歳の男子生徒は意識不明の重体で病院に搬送されました。奈良県全域では当日午前4時30分頃に雷注意報が発表され、落雷事故が発生する午後5時30分頃から奈良市周辺では急速に発達した雨雲(積乱雲)が通過していました。
今回は、落雷の被害に遭わないために知っておきたい雷の特徴や避難行動について考えてみたいと思います。
「いきなり光の柱が男性の頭に落ちた」―落雷事故は過去に沖縄でも
2016年7月24日午後2時45分頃、糸満市の「美々ビーチいとまん」でバーベキューをしていた成人男性4人が落雷事故に遭いました。トイレ付近にいた男性1人が落雷の直撃を受け、胸から下半身にやけどを負い心肺停止の状態でした。ライフガードがAEDを使用し、駆け付けた消防隊員や医師らが心肺蘇生措置を続け、男性は自発呼吸を取り戻りましたが意識不明のまま病院に搬送されました。また、一緒にいた他の3人も小指骨折や擦り傷などのケガで搬送されました。 この落雷事故は沖縄本島地方に雷注意報が出たわずか3分後の出来事でした。
落雷は一年中発生し地域によって起こりやすさに差があるものの、日本中どこでも発生する気象現象です。下のグラフは全国で落雷した数を月別に過去10年平均で示したものです。積乱雲が発生しやすい夏季、特に8月の落雷数が最も多く全体の約25%、6月~9月の3か月間の落雷数は全体の約60%を占めています。
出典:雷情報サイト「雷ぶらり」 (フランクリン・ジャパン運営)を加工して当社作成
※日本列島および周辺海域を含む2600㎞四方に発生した落雷数を月別に集計したもの。また、落雷日数は、落雷数に関わらず落雷が1回でもあった日を1日としてカウントされている。
積乱雲が近づく3つのサインを見逃さないで
雷を発生させるのは積乱雲です。離れた距離でゴロゴロとした音や稲光がピカッと空が明るくなる場合はわかりやすいのですが、急に発達した積乱雲が近づいてくる場合もあります。天気予報で雷注意報を聞いた際には、積乱雲が近づいてくる3つのサイン(次ページのイラスト参照)を見逃さず、すぐに危険な場所から離れ、安全な場所に避難しましょう。
イラスト出典:「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」(気象庁HPより)より抜粋
また、内閣府大臣官房政府広報室の「政府広報オンライン」では、雷は音を聞いたらすぐに避難 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)動画(所要時間3分25秒)で雷の特徴や避難のタイミング、避難場所がない場合の対処法などわかりやすく説明していますのでご覧ください。
気象情報を活用して災害に備えよう
積乱雲が急速に発達すると、雷だけでなく、大雨、竜巻、突風なども発生し命の危険にさらされる可能性があります。気象庁ではリーフレット「急な大雨・雷・竜巻―ナウキャストの利用と防災―」でこれらの災害から身を守る方法や、強い雨、雷、竜巻など最新の気象状況をPC・スマートフォンから高解像度で確認できるナウキャスト(無料)の紹介をしています。こちらも併せてご活用ください。リーフレット「急な大雨・雷・竜巻 -ナウキャストの利用と防災-」 | 気象庁 (jma.go.jp)
まとめ
沖縄では一年で最も過ごしやすい「うりずん」と呼ばれる季節が訪れています。今月からゴールデンウィーク期間中にかけて、旧盆にならぶ大きな先祖供養行事と言われるシーミー(清明祭)でお墓掃除、墓前にご馳走をお供えし親族と集う機会も多いことでしょう。また、県内各地ではすでに海開きも行われ、海や山などでのレジャー、イベント、スポーツなど屋外活動も夏に向けて本格的なシーズンに入ります。これらのアクティビティ、通勤・通学、子供たちの放課後クラブ活動中に災害や事故に遭うことなくあんしん・あんぜんに過ごすため、雷注意報など気象情報に気を配りながら正しい知識で、いざというときにできる小さな行動があなたとあなたの大切な人を救うことにつながります。
参考文献リスト
NHK NEWS WEB 「グランドに落雷・男子中学生が意識不明・中高生6人搬送・奈良」
沖縄タイムス+プラス 「雷注意報の3分後…沖縄・イトマンのビーチで落雷、1人重体」
雷情報サイト「雷ぶらり」(株式会社フランクリン・ジャパン運営) 雷統計データ
政府広報オンライン 「雷は音を聞いたらすぐ避難」(動画)
気象庁 「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」、気象警報・注意報の種類、リーフレット「急な大雨・雷・竜巻 -ナウキャストの利用と防災―」
リスクマネジメント アドバイザー 宮城 和美