コラム

2025.03.11

あなたのその”自信“。本当に大丈夫ですか? ~地震にまつわるウソ・ホント~

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ありんくりんニュース

日本は「地震大国」と言われますが、なぜでしょうか?地球の表面は、プレートと呼ばれる厚さ約100㎞の板状の岩盤で覆われています。左下の世界地図はプレート境界、右下は地震分布図を表しています。この2つの世界地図を比較してみると、ユーラシア大陸やアフリカ大陸などで地震の発生が少ない地域がある一方、日本含む環太平洋地域やヒマラヤ山脈から地中海沿いではプレート境界をなぞるように地震が多く発生していることがわかります。

日本列島は4つのプレートの境目に位置しています。2011年~2023年でみると、世界で発生したマグニチュード(M)6以上の地震の16.3%(世界1,873回、日本305回)は日本周辺で発生しています。

 

「沖縄では地震は少ない」はウソ
沖縄は他県に比べ地震が少ないと思っていませんか?沖縄気象台は、2024年に沖縄地方とその周辺で観測された地震は13,544回、そのうち震度1以上は57回観測したと発表しました。これは、全国で28番目に高い発生回数です。さらに、与那国島に近い台湾東海岸エリアにおいては、2018年にM6.7、2022年にM7.3、そして2024年にM7.7と大規模地震が短い周期で頻発しています。
沖縄気象台主催の2024年度防災気象講演会で登壇した琉球大学理学部地震学研究室の中村衛教授は、今後30年間に震度6弱の揺れが起きる確率は、那覇市おもろまちで21%、久茂地で42%、今後60年後に沖縄県全域において発生する確率は60~80%にのぼり、「日本の中でも地震のリスクが高い地域だ」と警鐘を鳴らしています。

地震10秒診断
一般社団法人日本損害保険協会と国立研究開発法人防災科学技術研究所では、災害関連データを活用したデジタルコンテンツ「地震10秒診断」を無料で提供しています。この「地震10秒診断」では、利用者が入力した位置情報に基づき、今後30年以内に震度5弱~震度7までの5段階の揺れに見舞われる確率やその際に想定される、①停電日数、②ガス停止日数、③断水日数、④家屋の全壊確率、⑤出火確率、の5種類のシミュレーション結果を確認することができます。ご自宅や学校、職場など身近な場所の地震発生確率等の確認や発生後のご自宅での生活再建をイメージしてみてはいかがでしょうか。

「もしも」に備える手段の一つ、地震保険
地震に関する研究は進歩してきていますが、自然災害の中でも確たる予測が難しい地震。一度発生すると人命や財産に甚大な被害を引き起こしかねません。地震によって建物・家財への損害に備える方法の一つに地震保険があります。この保険は、政府と損害保険会社が共同運営する公共性の高い制度として設立され、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による損害を補償する保険です。

まとめ
地震保険の目的は生活再建です。保険金額は火災保険契約金額の最大50%(建物5,000万円、家財1,000万円)が限度額で家を再建するには厳しい現状があります。住宅ローンを支払っている間に家が被災すると、新規ローンを組んで修繕、現存ローンと合わせて二重返済する状態に陥る可能性があります。支払われた保険金の用途は問われませんので、被災後の生活を立て直すための資金(例:ローン返済、引越し、学費、生活費など)として地震保険を活用することも経済的負担を軽減できる手段となります。


参考文献リスト
国土交通省 河川データブック2024 マグニチュード6以上の地震回数
沖縄気象台 防災一口メモ(2024年12月) 2024年(令和6年)の沖縄地方の地震活動(概要)
地震調査研究推進本部 画像集(世界のプレート境界、世界の地震分布図)、「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価(第二版)」
地震10秒診断 もしもあなたの街で地震が起こると…?
日本損害保険協会 損害保険Q&A、地震保険とは|地震後の暮らしのチカラになる「地震保険」【日本損害保険協会】 (jishin-hoken.jp)

リスクマネジメント・アドバイザー 宮城 和美